ししうど (猪うど)
学名 |
Angelica pubescens |
日本名 |
シシウド |
科名(日本名) |
セリ科 |
日本語別名 |
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漢名 |
毛當歸(モウトウキ,máodāngguī) |
科名(漢名) |
繖形(傘形,サンケイ,sănxíng)科 |
漢語別名 |
浙獨活(セツドクカツ,zhèdúhuó)、毛獨活 |
英名 |
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2018/08/20 長野県 入笠山 |
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2016/08/25 長野県霧ヶ峰 |
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辨 |
シシウド属 Angelica(當歸 dāngguī 屬)には、主に北半球の温帯に約80-110種がある。
トウキ(ニホントウキ) A. acutiloba(Ligusticum acutiloba;東當歸・延邊當歸)
『中国本草図録』Ⅵ/2746 『全國中草藥匯編 上』p.356
ミヤマトウキ subsp. iwatensis(A.iwatensis)
ホッカイトウキ var. sugiyamae
A. amurensis(黑水當歸) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅴ/2229
エゾノヨロイグサ(エゾシシウド) A. anomala(狹葉當歸・川白芷・庫頁白芷・土當歸)
『中国本草図録』Ⅳ/1766
A. apaensis(阿垻當歸)『週刊朝日百科 植物の世界』3-121
ムニンハマウド A. boninensis(A.japonica var.boninensis, Peucedanum boninense)
小笠原産
A. cartilaginomarginata
ヒメノダケ(ツクシノダケ) var. cartilaginomarginata(Peucedanum
cartilaginomarginatum;長鞘當歸・骨緣當歸)
本州(近畿)・四国・九州・朝鮮産
オニシラハノダケ var. distans
コウライヒメノダケ var. matsumurae(A.boissieuana;東北長鞘當歸)
四国・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江産
ミヤマノダケ(イシヅチノダケ) A. cryptotaeniifolia(A.gigas var.minor)
四国・九州産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ツクシミヤマノダケ var. kyushiana
タチウド A. czernaevia
ヨロイグサ A. dahurica(A.porphyrocaulis;白芷・香白芷・興安白芷・東北大活)
var. formosana(A.formosana;臺灣獨活) 『中国本草図録』Ⅱ/741
嘗て浙獨活と呼ばれ,中藥杭獨活の原植物とされていた,待考(植物智)
ノダケ A. decursiva(Peucedanum decursiva;紫花前胡)
シロバナノダケ f. albiflora(鴨巴前胡)
アマニュウ A. edulis
ヒュウガトウキ A. furcijuga
オオバセンキュウ A. genuflexa(A.refracta)
北海道・本州(中部以北)・極東ロシア・アラスカ・北米北西部産
オニノダケ A. gigas(朝鮮當歸) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江産 『中国本草図録』Ⅲ/1305
イワニンジン A. hakonensis(A.nikoensis) 本州(関東・中部)産
ノダケモドキ var. nikoensis 本州(関東・東海)産
ナンゴクハマウド A. hirsutiflora(A.japonica var.hirsutiflora;濱當歸) 琉球・臺灣産
ハナビゼリ A. inaequalis 本州(関東以西)・四国・九州産
ハマウド A. japonica(A.kiusiana) 本州(関東以西)・四国・九州・琉球・朝鮮産
アシタバ A. keiskei
A. laxifoliata(疎葉獨活) 陝西・湖北・四川産
ツクシゼリ A. longiradiata(Peucedanum longiradiatum) 岡山・九州産
ヒナボウフウ var.yakushimensis(Peucedanum yakushimense) 屋久島産
クマノダケ A. mayabarana
A. megaphylla(大葉當歸・大葉獨歸) 四川産
ヒュウガセンキュウ A. minamitanii 本州・四国・九州産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ヤマゼリ A. miqueliana(山芹當歸・背翅當歸) → Ostericum sieboldii
モリゼンゴ A. morii(福參・建參) 臺灣・福建・浙江産
A. morrisonicola
ニイタカシシウド var. morrisonicola(玉山當歸) 臺灣産
ナンコシシウド var. nanhutashanensis(南湖當歸) 臺灣産
シラネセンキュウ(スズカゼリ) A. polymorpha(拐芹)
コバノヨロイグサ A. porphyrocaulis(紫莖獨活・霧靈獨活・霧靈白芷・興隆獨活)
ツクシトウキ A. pseudoshikokiana(A.saxicola var.taneyoshiana) 九州産
シシウド A. pubescens(毛當歸・浙獨活・香獨活・獨活)
ミヤマシシウド var. matsumurae(A. matsumurae) 本州深山に産
A. sachaliensis
エゾノヨロイグサ var. sachaliensis
ミチノクヨロイグサ(ケナシミヤマシシウド) var. glabra
イシヅチボウフウ A.saxicola 四国産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
イヌトウキ A. shikokiana 紀伊半島・四国・九州産
クマノダケ var. mayebarana(A.tenuisecta var.mayebarana, A.mayebarana) 九州産
シナノダケ A. sinanomontana 八ヶ岳産という 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
ホントウキ(カラトウキ) A. sinensis(A.polymorpha var.sinensis;當歸・秦歸・雲歸・西歸)
主に陝甘・湖北・四川・雲南で薬用に栽培
『中薬志Ⅰ』pp.194-196 『中草薬現代研究』Ⅱp.1 『全國中草藥匯編 上』pp.355-356
ホソバトウキ A. stenoloba(A.acutiloba var.lineariloba) 北海道産
A. taiwaniana(臺灣白芷)
タロコトウキ A. tarokoensis(太魯閣當歸) 臺灣産
カワゼンゴ A. tenuisecta(A.shikokiana var.tenuisecta) 紀伊半島産
ヒュウガトウキ var. furcijuga(A.furcijuga)
A. tschiliensis(秦嶺當歸・土當歸) 秦嶺北部産
ウバタケニンジン A. ubatkensis(peucedanum ubatakense) 四国・九州産
オオウバタケニンジン var. valida(A.mukabakiensis)
宮崎産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
チョウセントウキ A. uchiyamae 韓国産の當歸
エゾニュウ A. ursina
ヤクシマノダケ A. yakusimensis(A.shikokiana var.yakushimensis) 屋久島産
トサボウフウ A. yoshinagae(A.saxicola var.yoshinagae, S.shikokiana var.yoshinagae)
四国産
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セリ科 Apiaceae(Umbelliferae;繖形(傘形) sănxíng 科)については、セリ科を見よ。 |
訓 |
漢名當歸(当帰,トウキ,dāngguī)は、「古人 妻を娶るは、嗣続の為なり。当帰は血を調う。女人の要薬なり。夫を思うの意有り。故に当帰(帰は「嫁ぐ」意。当帰は「帰嫁しよう、結婚しよう」の意)の名 有り」と(李時珍『本草綱目』)。 |
和名は、人のウドに対して、イノシシのウド。壮大な姿から。 |
『本草和名』に、当帰は「和名也末世利、一名宇末世利、一名加波佐久」、馬芹子は「和名宇末世利」と。
『延喜式』当帰に、「ヤマセリ」と。
『倭名類聚抄』に、当帰は「和名夜末世里、一云於保世里、又云宇万世里」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』9 獨活に「シゝウド イヌウド ウマウド越州貴船」と(ハナウドを見よ)。10 當歸に「オホゼリ カハゼリ ヤマゼリ ウマゼリ以上皆古名 今ハ通名 ヨメノワン越前」と。 |
属名 Angelica は「天使の」の意、薬効が著しいことから。 |
説 |
本州・四国・九州(・安徽・浙江・江西・湖北・廣西)に分布。 |
誌 |
中国では、シシウド属 Angelica(當歸 dāngguī 屬)の植物のうち 次のものを薬用にする(〇印は正品)。
當歸(当帰,トウキ,dāngguī):『中葯志 』I/194-196 『全國中草藥匯編 上』pp.355-356 『(修訂)中葯志 』I/417-423
トウキ Angelica actiloba(東當歸・延邊當歸)
エゾノヨロイグサ Angelica anomala(川白芷・庫頁白芷)
〇Angelica sinensis(A.polymorpha var.sinensis;當歸・秦歸・雲歸)
〔日本では、生薬トウキ(当帰)はトウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたものである(第十八改正日本薬局方)。
獨活(独活,ドクカツ,dúhuó,どっかつ):『中葯志』I/345-352 『全國中草藥匯編 上』pp.629-632
ヨロイグサ Angelica dahurica(A.porphyrocaulis;白芷・香白芷・興安白芷・東北大活)
〇Angelica laxifoliata(疎葉獨活)
Angelica megaphylla(大葉當歸・大葉獨歸)
〇シシウド Angelica pubescens(毛獨活・浙獨活)
ニオイウド Ostericum grosseserratum(Angelica grosseserrata;大齒山芹)
ヤマゼリ Ostericum sieboldii(Angelica miqueliana;山芹)
Archangelica brevicaulis(Angelica brevicaulis;短莖球序當歸)
〔日本では、生薬ドッカツはウドの、通例、根茎である(第十八改正日本薬局方)。〕
牛尾獨活(ギュウビドクカツ,niúwĕi dúhuó)については、ハナウドの誌を見よ。
九眼獨活(キュウガンドクカツ,jiŭyăn dúhuó)については、ウドの誌を見よ。
白芷(ハクシ,báizhĭ,びゃくし):
『中薬志Ⅰ』pp.149-154 『全國中草藥匯編 上』pp.285-287 『(修訂)中葯志 』I/391-397
〇エゾノヨロイグサ Angelica anomala(川白芷・庫頁白芷)
〇ヨロイグサ Angelica dahurica(興安白芷・祁白芷)
〇 var. formosana(A.formosana, A.taiwaniana;臺灣白芷・杭白芷)
Heracleum hemsleyanum(獨活・牛尾獨活・川鄂獨活)
Heracleum moellendorfii(短毛獨活・河北獨活・白芷)
Heracleum scabridum(粗糙獨活・白芷・雲南牛防風)
ハナウド属 Heracleum(獨活 dúhuó 屬)については、ハナウド属を見よ。
〔日本では、生薬ビャクシはヨロイグサの根である(第十八改正日本薬局方)。〕
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『楚辞』「離騒」に、「江離(センキュウ)と辟芷(へきし、白芷)とを扈(こうむ)り、秋蘭(フジバカマ)を紉(つな)いで以て佩(はい)と為す」と。 |
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